2000年6月の改正建築基準法の施工から3年以上が過ぎているが、必ずしも関係者の間で防火・耐火規定に対する十分な理解が得られている状況ではないようである。
防火と耐火の概念や、指定地域の範囲、改正前の状況と改正後に必要となった対応、確認申請の問題などについて、特に屋根の防火性能規定の関連で述べてみたい。
「屋根の30分耐火の大臣認定を取っているから飛び火試験は受ける必要はないのではないか。」という質問をされることがあるが、防火と耐火性能については要求性能が異なり、代替性能として扱うことはできない。
改正建築基準法においては、防火性と耐火性は異なる要求に基づく性能として規定されている。「防火性」は建物の外部からの火災を防ぐ性能であり、「耐火性」は火災に対してその火災が終了するまで建物が構造的に耐える性能(建物内部の火炎に対して主要構造が崩れ落ちない)というまったく異なる要求があるため別々の基準を持つことになる。
従って、屋根の30分耐火と別に飛び火性能の確認が必要になる。
旧法においては、第63条で「防火地域または準防火地域内においては、建築物の屋根で耐火構造又は準耐火構造でないものは、不燃材料で造り、又ふかなければならない。」となっていて、防火性と耐火性の概念があいまいになっていた。旧法の下では、耐火構造又は準耐火構造であれば、ほとんどのメンブレン防水がそうであるように可燃物で被覆しても確認申請時にとがめられることはなかった。
ただし、一部の自治体については屋上の防火性能に条例により防火性能試験を要求することがあった。この場合でも適切な試験方法が規定されていなかったためJIS
A 1312-1959「屋根の防火試験方法」の飛び火試験を適用していた。この規格の適用範囲には「建物の屋根(パラペットのある場合を除く)の防火試験方法について規定する」とあり、旧法第63条に基づく内容となっている。試験内容も軒裏・軒先の防火性能試験となっていて、耐火構造又は準耐火構造(=パラペットのある場合)に適応する内容ではなかった。
このように旧法においては防火性能や試験方法の規定に不整合が合ったが、今回の法改正の大きな特徴である性能規定により、屋根の防火について以下のような要求性能が規定された。
1.屋根が容易に燃え抜けて、大量の飛び火を周囲に撒き散らすことがないこと
2.周囲から飛来した飛び火によって、周囲に新たな火種を撒き散らさない
これらの性能要求は、第63、22条により指定される地域に適用される事になる。
@防火地域又は準防火地域の建築物の屋根の構造:
市街地における火災を想定した火の粉による火災の発生を防止する性能を有するものとする(法第63条)
A建築基準法22条区域内の建築物の屋根の構造:
通常の火災を想定した火の粉による火災の発生を防止する性能を有するものとする(法第22条)
指定地域については以下のような概念となる。
防火地域・準防火地域は都市計画法に基づき自治体が指定する地域であり、22条地域は知事又は市町村長が指定することとなっている。
@防火地域
A準防火地域
B22条指定地域
Cその他の地域 |

乱暴な言い方をすれば、防火・準防火地域は、都市計画法の対象となる繁華街であり、22条指定地域とは、その周辺の住宅街となる。屋根の防火性能については、建設省告示1365号「防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造方法を定める件」(平成12年)の例示を除き、@〜Bの地域についてはすべて飛び火試験による性能確認が必要となる。
ここで、告示1365号の内容にふれると、次のような内容となっている。
1.不燃材料で造るか又はふくこと
2.屋根を準耐火構造とすること
3.屋根を耐火構造(屋外に面する部分を準不燃材料で造ったもので、かつ、その勾配が水平面から30度以内のものに限る)の屋外面に断熱材(ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォームその他これらに類する材料を用いたものでその厚さの合計が50o以下のものに限る)及び防水材(アスファルト防水工法、改質アスファルトシート防水工法、塩化ビニル樹脂系シート防水工法、ゴム系シート防水工法又は塗膜防水工法を用いたものに限る)を張ったものとすること。
この告示内容は、ほとんどのメンブレン防水及び施工対象となるRC、PC下地を包括していることになっている。
屋根(ベランダ等を含む)が準耐火構造でない場合は、必ず飛び火試験の性能確認を行い、大臣認定を取得することになる。
ただし、告示については例示の仕様について克明に示すことができるわけではなく、最終的な判断は建築主事にゆだねられることになる。
屋根の飛び火安全性はISO/FDIS 12468-1 に規定された試験装置により指定性能評価機関で試験を行う必要があるが、現状では2箇所しか対応できる試験機関がなく、申請をすればすぐに試験を受けられる状態とはなっていない。
従って、建築主事に不適合を指摘され、慌てて認定を取るようなことにならないように、既存の工法や新規設計の工法に対して検討を行っておく必要がある。
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