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2004.2 

 ○シックハウス問題について
 技術委員会

「ウレタン建材」第27号より 

1.はじめに
 近年、建物の高気密化や換気量不足による室内での空気汚染によると思われるシックハウス症候群なる症状を訴えるケースが増加した事をふまえ、建築基準法ではシックハウス対策として、平成14年7月に一部を改正した。その概要は、居室内においては指定化学物質の放散量及び等級、換気に関しての量及び回数などの規制を設け、平成15年7月より施行された。

2.各官公庁の動向
2.1 建築基準法 改正
(1)居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置
 第二十八条の二 居室を有する建築物は、その居室において政令で定める化学物質の発散による衛生上の支障のないよう、建築材料及び換気施設について政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない
(2)居室とは
  居室、執務、作業、集会、娯楽、その他これらに類する目的のために継続的に使用する室

(3)規制対象とする化学物質
 クロルピリホス及びホルムアルデヒド
 1)クロルピリホスに関する規制 
   クロルピリホスを添加した建材の使用を禁止する
 2)ホルムアルデヒドに関する規制
  イ)内装の仕上げの制限(表1)
  ロ)換気設備の義務付け
  ハ)天井裏等の制限

2.2 厚生労働省 ガイドライン
 シックハウス症候群の原因の一つを化学物質に求め、建築物衛生法建築物環境衛生管理基準で、その中に揮発性有機化合物(VOC)として独自のガイドラインを設けている(表2)。

2.3 文部科学省 基準
 建築基準法の施行より1年早く、平成14年2月に学校環境を衛生的に維持するためのガイドラインである基準を改定し、同年4月より適用を開始した。
(1)学校環境衛生の基準
  該当化学物質として4物質で、判定基準値は厚生労働省指針値に準じている。
 1)該当化学物質
  イ)ホルムアルデヒド
  ロ)トルエン
  ハ)キシレン
  ニ)パラジクロロベンゼン
 2)現場における化学物質の室内濃度の測定などについて規定している。

表1 建築材料の区分
ホルムアルデヒドの放散速度
(温度28℃、湿度50%)

告示で定める建築材料
大臣認定を受けた建築材料 内装仕上げの制限

名称
     
0.12mg/m2h超 第1種ホルムアルデヒド
発散建築材料
JIS、JASのF☆(旧E2)
Fc2相当、無等級

使用禁止
0.12mg/m2h以下
0.02mg/m2h超
第2種ホルムアルデヒド
発散建築材料
JIS、JASのF☆☆ 第20条の5第2項認定 使用面積制限
0.02mg/m2h以下
0.005mg/m2h超
第3種ホルムアルデヒド
発散建築材料
JIS、JASのF☆☆☆ 第20条の5第3項認定
0.005mg/m2h以下 JIS、JASのF☆☆☆☆ 第20条の5第4項認定 制限無し

表2 厚生労働省ガイドライン

揮発性有機化合物

室内濃度指針値
μg/m3

設定日
ホルムアルデヒド

100(0.08ppm)

1997/6/13
トルエン

260(0.07ppm)

2000/6/26
キシレン

870(0.20ppm)

2000/6/26
パラジクロロベンゼン

240(0.04ppm)

2000/6/26
エチルベンゼン

3800(0.88ppm)

2000/12/15
スチレン

220(0.05ppm)

2000/12/15
クロルピリホス

1(0.07ppb)
小児0.1(0.007ppb)

2000/12/15
フタル酸ジ-n-ブチル

220(0.02ppm)

2000/12/15
テトラデカン

330(0.04ppm)

2001/7/5
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル

120(7.6ppb)

2001/7/5
ダイアジノン

0.29(0.02ppb)

2001/7/5
アセトアルデヒド

48(0.03ppm)

2002/1/22
フェノブカルブ

33(3.8ppb)

2002/1/22
総揮発性有機化合物量(TVOC)

暫定目標値400

2000/12/15

2.4 シックハウス総合行政対策の概要(図1)→拡大

表3 WHO(世界保健機構)が定義する化学物質の分類

分類

略称

沸点範囲(℃)

化学物質の例

高揮発性有機化合物
Very Volatile Organic Compounds

VVOC


50-100

ホルムアルデヒド他

揮発性有機化合物
Volatile Organic Compounds

VOC

(50-100)〜
(240-260)

キシレン、トルエン他

半揮発性有機化合物
Semi Volatile Organic Compounds

SVOC

(240-260)〜
(380-400)

フタル酸ジ−n−ブチル他

粒子状有機化合物
Particulate Organic Matter

POM

>380

クロルピリホス他

(WHOでは、化学物質の沸点により、以上のような分類をしており、VOCは沸点が50〜260℃のものと定義されているが、我が国におけるシックハウス症候群の対象物質としては、クロルピリホスのような高沸点物質も含まれている。)
3.今後について
 シックハウス問題に絡む規制は、始まったばかりで、厚生労働省は14品目とその指針値(ガイドライン)を設け、文部科学省ではトルエン・キシレン等の基準を独自に設けている。また、JISではJIS A 1901小型チャンバー法の制定や、等級付けのJIS A 1900、1902など材料ごとの試験方法も出来る予定といわれている。こういった状況から推測ではあるが、数年後には建築基準法を含め規制対象の化学物質が追加され、更に厳しいものになるものと思われる。
 防水業界では、施工部位が“居室”から離れる部分が多く、法律上の対象は少ないと考えられるが、対象となる部分での材料の指定化学物質表示問題や、時代の流れでもある環境対応製品の開発に、各材料メーカーの積極的な取り組みが望まれている。

「ウレタン建材」第27号より